'07年12月のガエターノ・ドニゼッティ作
『愛の妙薬』
"L'elisir d'amore"の上演の記録です。
東大歌劇団の上演に関するデータ
2007年12月16日
於 三鷹市公会堂
総監督: 夏秋 嶺
演出: 水谷百合香
- キャスト -
アディーナ(sop.) | 山本摂子
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ネモリーノ(ten.) | 中野雄介
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ベルコーレ(bar.) | 伊藤祐輝
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ドゥルカマーラ(bas.) | 菅野普
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ジャンネッタ(sop.) | 中西絵吏花
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東京大学歌劇団合唱団
合唱指揮 | 高井翔海
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Soprano | 奥村美紀子 神谷夏子 栗原綾香 関根杏美 中西絵吏花
三砂沙織 溝口明奈 山元明日香 山本摂子
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Alto | 飯野彩子 斉藤美樹 高井翔海 永田由樹 原田真理子
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Tenor | 甘粕祐介 小柳毅鎭 雑古岳展 芝田陽治 中野雄介 宮原潤也
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Bass | 伊藤祐輝 王佳寅 菅野普 シュプルング=フローリアン
水口皓介 横山弘泰
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Pianist | 栗脇永翔 菅沼安奈 高井翔海 永田由樹 中村彩
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東京大学歌劇団管弦楽団
コンサートマスター | 樋野貴宏 |
1st violin | 樋野貴宏 安藤裕貴 市ノ渡佳明 川神裕 藏川瑠美
佐々木晶子 久光孔世留 濤川洋平 腰塚真衣子*
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2nd violin | 高橋未来 秋葉紀子 今泉允聡 鎌田林太郎 佐藤啓
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Viola | 原田なをみ 本郷勇太 益田志保 真弓智也
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Violoncello | 北篤佳 穴田明生 小寺俊弘 塚本裕美 戸上亜美
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Contrabass | 早川俊英 徳永孝二*
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Piccolo&Flute | 小西功祐 大槻千草 石井崇也 中村彩
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Oboe | 森本美和子 間下千冬*
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Clarinetto | 張晋華 藤岡剛 西塚要
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Fagotto | 宮崎恭世 斉藤七恵 池田淳子
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Horn | 水谷洋平 黒岩美加沙 森田春香 千田康介*
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Trombone | 鈴木千穂 古東禎子 足立仁志*
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Trumpet | 近藤啓太 家合幹夫 宮腰一也
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Percussion | 長岡優 柳下雄介 三枝明日香*
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Harp | 中村愛*
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Cembalo | 栗脇永翔
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(*印は賛助出演)
- 舞台制作 Staff -
舞台監督 | 水口皓介
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大道具 | 近藤啓太 青山優歩 石井崇也 王佳寅 栗原綾香 小寺俊弘 芝田陽治 久光孔世留 水谷洋平 水口皓介
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小道具 | 原田真理子 安東裕貴 飯野彩子 今泉允聡 栗脇永翔 斉藤美樹 濤川洋平 三砂沙織 山元明日香
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衣装 | 山下明子 飯野彩子 栗原綾香 溝口明奈 戸上亜美 永田由樹 中西絵吏花 宮原潤也 柳下雄介
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メイク | 山下明子 黒岩美加沙 山元明日香
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照明 | 菅沼安奈 王佳寅 栗脇永翔 久光孔世留
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音響 | 安東裕貴 穴田明生 小寺俊弘
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字幕制作 | 安東裕貴 中村彩 三砂沙織 水谷百合香
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宣伝美術 | 水谷百合香 山下明子 飯野彩子 石井崇也 今泉允聡 王佳寅 小寺俊弘 溝口明奈 中西絵吏花 濤川洋平
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プログラム | 石井崇也 斉藤美樹
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- Special Thanks To -
メイク協力 | シナリー化粧品 山下政子
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字幕操作 | 渡邉吉康
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受付 | アクメトフ・イリアス 鹿島ちひろ 東條真弓
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撮影 | 奥本高行
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三鷹市公会堂のみなさん
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ものがたり
第一幕
19世紀。バスク地方の農村。 農夫のネモリーノは、地主の娘アディーナに恋している。
「なんて可愛らしく愛らしい人!しかし無知な僕はため息をつくことしかできない・・・」
アディーナは村人達に『トリスタンとイゾルデ』の話を読んで聞かせる。
「飲めば愛が得られる妙薬!そんな薬があったら作り方を知りたいわね」
そこに軍隊がやってくる。軍曹のベルコーレはアディーナに言いより、プロポーズをする。
「パリスが美女にリンゴを捧げたように、私は貴女に花を贈ります」
ネモリーノはあせりアディーナに愛を訴えるが、アディーナの反応はつれない。
馬車にのって自称『偉大な医者』のドゥルカマーラがやってくる。ドゥルカマーラは言葉巧みに『奇跡の薬』を村人達に売りつける。
「お聞き下さい。村人達」ネモリーノがこっそり『愛の妙薬』をドゥルカマーラに求めると、ドゥルカマーラは安ワインを妙薬と偽り高値で売りつけ、効果は一日後だと説明する。
『愛の妙薬』を飲んだネモリーノは気が大きくなりアディーナを怒らせる。
怒ったアディーナはベルコーレのプロポーズを受けてしまう。そこに軍に命令が下り、ベルコーレは明日村を出発することになる。アディーナはベルコーレと今日のうちに結婚することを決めてしまう。
ネモリーノは慌ててアディーナに結婚を思いとどまるように訴えるが、アディーナは聞き入れない。
村人達は、あわてふためくネモリーノを笑いものにする。
第二幕
アディーナとベルコーレの結婚式が行われる。 結婚式がお開きになったあと、絶望したネモリーノがやってくる。
ドゥルカマーラは、もう一本薬を飲めば今日中に愛を得られるとネモリーノに言うが、ネモリーノはもう薬を買う金を持っていなかった。
そこにベルコーレが現れる。ベルコーレはアディーナに結婚証明書へのサインは夜まで待つように言われていた。
ネモリーノはベルコーレから軍に入隊すれば金を貰えると聞き、入隊を決意する。
「たとえ命を落としたとしても、彼女に愛されるならそれ以上の宝はない」
そのころ村娘達はうわさ話で盛り上がっていた。ネモリーノの叔父が亡くなって、莫大な遺産がネモリーノに相続されたのだ。
『妙薬』を飲んだネモリーノは、急に村娘達からもてるようになり「妙薬の効果だ」と喜ぶ。
何も知らないアディーナはネモリーノの様子を見て混乱するが、ネモリーノがアディーナのために入隊したのだとドゥルカマーラから聞かされ、ネモリーノの愛に感動し涙する。
「なんて愛なの!それなのに私は彼を苦しめていたわ」 ドゥルカマーラはアディーナにも『愛の妙薬』を売りつけようとするが、アディーナは断る。
「私の可愛い顔が処方箋。私の瞳の中に妙薬があるの。ネモリーノは私のものになるわ」
アディーナとドゥルカマーラが去ったあと、ネモリーノが現れる。
ネモリーノはアディーナが自分のために泣いたことに感動して涙を流す。
「人知れぬ涙が彼女の目に浮かんだ。あの人は僕を愛している。僕はもう何もいらない!」
アディーナがやってきてネモリーノに声をかける。彼女は、ベルコーレからネモリーノの入隊証を買い戻してきたのだった。
「受け取って。私のためにあなたは自由になって」
ネモリーノはアディーナからの愛の告白を期待するが、アディーナはそのまま立ち去ろうとする。ネモリーノはアディーナに入隊証を突き返す。
「君に愛されていないなら、兵隊になって死んだ方がいい!」
アディーナはネモリーノの姿を見て、愛をうち明ける。
「あなたは私の大切な人。いままでいじわるしたことは忘れてね。これからは私があなたを幸せにしてあげる」
結ばれた二人をみて、ベルコーレは潔くアディーナをあきらめる。 ドゥルカマーラはすべては自分の薬の奇跡と村人にふれまわり、薬を売りさばき、馬車に乗って村を去っていく。