'08年6月のマスネ『マノン』の上演の記録です。
東大歌劇団の上演に関するデータ
2008年7月6日
指揮: 小西功祐
演出: 菅沼安奈
- キャスト -
マノン(sop.) |
山本摂子
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騎士デ・グリュー(ten.) |
真弓智也
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レスコー(bar.) |
横山弘泰
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デ・グリュー伯爵(bas.) |
菅野普
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ギヨー・ド・モルフォンテーヌ(ten.) |
宮原潤也
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ド・ブレティニー(bar.) |
王佳寅
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プセット(sop.) |
水谷百合香
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ジャヴォット(sop.) |
飯野彩子
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ロゼット(mez.) |
黒岩美加沙
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宿屋の主人(bar.) |
水口皓介
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東京大学歌劇団合唱団
合唱指揮 | 高井翔海
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Soprano | 飯野彩子 五十嵐実和 神谷夏子 木村佐知子 関根杏美 藤雅枝 武笠桃子 三砂沙織 水谷百合香
溝口明奈 山本摂子 和田礼佳
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Mezzo | 栗原綾香 黒岩美加沙 高井翔海 永田由樹
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Tenor | 井藤航太 小柳毅鎭 雑古岳展 芝田陽治 登坂直道 中野雄介 真弓智也 宮原潤也 溝口豪*
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Bass | 王佳寅 菅野普 夏秋嶺 水口皓介 横山弘泰
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Pianist | 栗脇永翔 シュプルングフローリアン 吉武真侑子
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(*印は賛助出演)
東京大学歌劇団管弦楽団
1st Violin | 秋葉紀子 今泉允聡 奥本高行 藏川瑠美 高橋未来 冨永香保
久光孔世留 三浦知雄 山元明日香 吉澤紗貴 有住文博*
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2nd Violin | 安東裕貴 伊藤亮 川神裕 佐々木晶子 佐藤啓 鷲見隆史
腰塚真衣子* 松村姿子*
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Viola | 益田志保 原田なをみ 樋野貴宏 本郷勇太 昌谷洋*
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Viloncello | 片山実 鈴木幸寛 戸上亜美 高橋裕之*
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Contrabass | 早川俊英 佐藤翠 熊谷琢次*
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Piccolo&Flute | 大槻千草 石井崇也 中村彩
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Oboe&English Horn | 森本美和子 間下千冬*
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Clarinetto | 斉藤美樹 藤岡剛 土師千知
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Fagotto | 斉藤七恵 宮崎恭世
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Trumpet | 高地 勝幸、小泉 秀雄
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Horn | 水谷洋平 中村仁美 阿曽裕子* 神崎鷹一*
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Trombone | 鈴木千穂 古東禎子 黒田哲人*
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Purcussion | 長岡優 三枝明日香 緒方進* 村本心平* 守田雅隆*
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Harp | 中村愛*
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Organ | 栗脇永翔
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(*印は賛助出演)
大道芸 渡辺千洋 (賛助)
- 舞台制作 Staff -
舞台監督 | 芝田陽治
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大道具 | 石井崇也 鎌田林太郎 栗原綾香 小寺俊弘 芝田陽治 濤川洋平 水谷洋平
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小道具 | 関根杏美 飯野彩子 今泉允聡 栗脇永翔 斉藤七恵 濤川洋平 三砂沙織 山元明日香
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衣裳 | 斉藤美樹 飯野彩子 栗原綾香 黒岩美加沙 関根杏美 戸上亜美 山元明日香
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メイク | 山元明日香 黒岩美加沙
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照明 | 久光孔世留 栗脇永翔
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音響 | 小寺俊弘
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字幕制作 | 中村彩 小西功祐 三砂沙織
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宣伝美術 | 三砂沙織 関根杏美 鎌田林太郎 小寺俊弘
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プログラム | 石井崇也 斉藤美樹
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- Special Thanks To -
ボイストレーニング |
青木素子
衣裳制作
黒岩恵美子
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照明操作 |
中島和也
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字幕操作 |
伊藤祐輝
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受付 |
小池明人 原田真理子 山下明子 濤川洋平
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撮影 |
王砿生
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三鷹市公会堂のみなさん |
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出演者紹介
総監督 小西功祐
マノン期総監督を務めるのは、少年の心を忘れない素敵な大人、小西さんです。
普段はフルート吹き。フルートがとってもお上手で、かつ今回は指揮においても素晴しい才能を発揮されている小西さん。
ソロ等が成功したら「今のよかったよ」というような、素敵な笑顔を見せてくれます。小西スマイルはプライスレスです。
ミスをしたりすると「何やってんの?」と言わんばかりの、今にも暴れだしそうな表情を見せますが、後でどうしたら上手くできるか具体的なアドバイスをしてくれます。
また小西さんは、学生にとても優しく、食事の席ではオペラについて、酒について、ツンデレについて・・・などなど、色々な話をしてくださいます。
そんな小西さんが最も愛するオペラが、今回上演する「マノン」です。甘美で情熱的な小西ワールドをどうぞご堪能ください。
演出 菅沼安奈
インタビュアー「菅沼さんについて、普段あなたが思っていることを教えてください。」
回答者 「愛するとは他者のために危惧を抱くことであり、他者の弱さに手を差し延べることである。
あたかも曙光のようなこの弱さの中で、『愛される女性』である『菅沼安奈』が浮かび上がる。
『菅沼安奈』の顕現である女性的なものは、あらかじめ与えられ、中性的なものとして出会われている対象や『きみ』に付け加わるものではない。形式論理学が知っている唯一の類は、この中性的なものに過ぎないのだ。
『愛される女性』の顕現は、tendreという『愛される女性』の体制と1つのものになっている。
tendreという様式は、極度のfragilite、vulnerabiliteのうちにある。
tendreが現れるのは、存在することと存在しないこととの境界においてであって、それは存在が輝きのうちで消えていく甘い火照りのように現れる。
tendreは『牧神の午後』におけるnympheたちが示す『うす桃色』のようにあらわれるのである。」
インタビュアー「なるほど。よくわかりました、エマニュエルさん。」
合唱指揮 高井翔海
我らが合唱指揮の高井翔海さんは前公演の「愛の妙薬」に続いて、2期目の活躍です。
ふだんはおしゃべり好きで、いつも誰かと楽しそうにお話ししています。ですが、練習になると、無駄話は一切せず(?) 、逆についつい話してしまう合唱団員を厳格(笑)に注意し、熱く指導!!!
今日の公演では先輩のご指導を生かせるように頑張ります!!
キャスト紹介
マノン 山本摂子
とうとう4年目の歌劇団となりました。マノンを演ずるにあたりまず、オペラも歌も全く未経験な私にたくさんの新しい経験と出会いをくださった歌劇団と支えて頂いた方々に、そして同期の皆に心からの感謝を捧げます。
歌の不思議さ面白さは、私にとって禅問答の様に驚くべき発想の転換と思ってもみない解答を与えてくれるものです。
マノンは享楽的と評されますが、瞬間をそのキャラクター最大限に生きています。
そんな力強さと輝くように生きている彼女の貪欲さ、真摯で純粋な人間性像を歌で描けますよう、又お聴き頂く皆様へもささやかなインスピレーションとしてプレゼントできましたら幸いです。
マノンが死を前に人生を反芻しますが、私にとりましてもこれまでの歌への道のりと歌劇団で頂いた大切な思い出にも重ねましてお届けしたいと思います。
騎士デ・グリュー 真弓智也
デ・グリューはマノンを恋するあまり、彼女の裏切りやわがままも最終的には全て許してしまう人物として描かれており、前半では優美かつ繊細な表現が求められる一方で、後半では非常に情熱的な歌唱が必要となります。
なかなか難しい役柄ですが、人生を誤るほどの恋に落ちるデ・グリューを丁寧に表現できればと思います。
レスコー 横山弘泰
誘惑に流されやすく、自己顕示欲が強く、優しい、どこにでもいる人間として描かれているレスコーは、いわゆる「濃い役」ばかりやってきた私には難役でした。もっと苦悩しろよ、レスコー!
そんな私の苦悩の成果が、この愛の物語に花を添えれば僥倖です。
以下宣伝。9月28日「魔笛」@サンパール荒川にパパゲーノで、10月25日「二人のフォスカリ」@杉並区勤労福祉会館に父フォスカリで出演予定ですので、ぜひご来場ください。
デ・グリュー伯爵 菅野普
初めて立った舞台「カルメン」から7回目の本公演になります。いつの間にか歌劇団の中では古株な方になってしまいました。
舞台を作っている皆様の多くは私より若いか、あとに入団した方々です。
運営もスタッフも普段の練習にも、裏にはたくさんの苦労があったことを思い出します。
舞台を支えている全ての方に感謝しつつ、全力を尽くしたいと思います。
ギヨー・ド・モルフォンテーヌ 宮原潤也
ある時は自分の馬車を若い男女の愛の逃避行に利用され、ある時は3人の女優に逃げられ、そしてある時は復讐の鬼となる・・・
そんなギヨーを本日演じさせていただきます宮原です。
今回の風貌、某クラシック漫画のエロ指揮者にしか見えないそうですが舞台上にそんな人物を見かけたら是非ご注目を!
ド・ブレティニー 王佳寅
北京出身。東京大学理学部物理学科3年。
声楽を青木素子氏に師事。これまでに「蝶々夫人」ボンゾ、「ランメルモールのルチア」ライモンド・男声合唱、「リゴレット」モンテローネ伯爵を演じ、合唱で「アイーダ」・「愛の妙薬」に出演。
東京大学歌劇団第15代運営委員長。
普段は自転車で東京中を駆け回る元気な男の子。
プセット 水谷百合香
歌劇団3年目・4年生にして、ようやくここ(キャスト紹介)に自己紹介を書くことが叶いました。
ぜいたくが大好きな3人娘の1人です。この役は、大好きです。緊張しますが、しあわせです。
一生懸命歌います。
ジャヴォット 飯野彩子
突如思いたってこの団体の門をたたいてから約2年、オペラの「お」の字も知らなかった私の人生は音を立てて方向を変えてゆきました・・・ 今では駒場に日参し、キャンプラ利用者の方々に迷惑をかける毎日。
歌なしでは夜も昼も明けません(本当に)。
今回は大不得意のフランス語にカタカナをふって、初のキャストに挑戦いたします。日ごろの成果を聴いていただければ幸いです!
ロゼット 黒岩美加沙
ただの舞台好き。昔々、舞台衣装のデザイナーになりたかった。社会人になってから、夜な夜なヘアメイクの専門学校に通った。
そういえば、しばらく歌ってなかった。何かが足りないと思っていた頃に出会った歌劇団。個性豊かな仲間に恵まれ、舞台を創る苦労と喜びに満ちた日々はかけがえのないもの。
私なら・・・人生に酒と薔薇と音楽を。このような機会を与えてくれた全ての人に感謝します。
宿屋の主人 水口皓介
この度宿屋の主人を務めさせていただきます水口というものです。
物語の大筋に関係のある役ではなく、出番も1幕頭のみではございますが、このえらそうな皮肉屋は、物語の導入を担っていると個人的に思っております。
この役の個性的な性格と役割を表現できるよう努めさせていただきますので、宜しくお願い致します。
オーケストラ
コンサートミストレス 秋葉紀子
小悪魔的な笑顔が印象的なばっきーさん。誰とでも楽しげに話す、その様子は・・・
以前、「私はヒトの皮をかぶったネコ」と自称してらしたけど、うん、確かにそんな感じかも。
でもいざ練習がはじまると、「その場面は何を表しているか」「それを伝えるには、具体的にどう弾けばいいか」などの丁寧で的確なアドバイスで、オケを引っ張っていってくださいます。
浅学な私は色々学ばせていただきました。総監督からの絶大な信頼も、頷けるところ。
オケも難しくてなかなか苦戦した「マノン」。ばっきーさんのもと、果たしてどんな風に仕上がったのか、ぜひご拝聴ください★
(戸上亜美)
管楽器セクションリーダー 大槻千草
木管セクリにインタビューしてみました:
@ 好きな音楽のジャンルは? - クラシックと洋楽。
A 一曲披露してください。 - ♪少年よ 神話になれ (結構上手い)
B 「Manon」で共感する場面は? - マノンが清貧の愛と享楽的な生活を秤にかけるところ。
C 一部の団員からボスと呼ばれているそうですが? - 別に。
このように音楽への広範な愛情と経済学部の魂をもつ我らが女帝は、200字書けと言われた私の紹介文をその4分の1程で済ませたツンの一方で、管要員を強力にリードし後輩には過剰な寵愛を注ぐ、頼れる女王でもあります。
そんな彼女の音楽、ぜひお聴きください♪
(近藤啓太)
金管・打楽器セクションリーダー 近藤啓太
雨にも負けず 風にも負けず わたしの嫌がらせにも負けない 秋田出身のメランコリックなトランペット少年です。
(大槻千草)
スタッフ
舞台監督 芝田陽治
私の舞台監督観を提示できるほど経験豊富ではありません(今回が初めて!)。
が、しかし舞台は様々な人々の連帯で成り立ちます。指揮者と演出を中心に1つのオペラを観客の皆様にお届けする過程には様々な苦労や困難がありました。
しかし、皆様に今日お届けしたいのは私達の成果ではなく、私たちのオペラであります。
私は今、一合唱団員であると同時に一舞台監督であり、指揮者、キャスト、団員皆が最高のオペラを皆様に届けられる最高の状態を整えたいと未熟ながらも尽力させて頂きます。
皆様が感動の余韻に浸りながら安全な帰路を取られ、舞台監督の存在を少しでも感じることがないとしたら是に若く光栄はありません。
とは言うものの身の程知らずな言説を弄するか口をつぐむかしかできない者ですから、この場をお借りして先輩方を始めこの半年間私を支えてくださった方々にお礼を申し添えたいと思います。ありがとうございました!
大道具チーフ 石井崇也
大道具チーフになってあっという間に半年が経ち、月日の流れは本当に速いと感じています。
就任早々にいろいろな意味で大作である「マノン」の舞台装置の製作を担うことになった時には、その重責と自らの力不足をひしひしと感じたものです。
ですが、演奏者とは違う形で「マノン」という舞台にかかわることができたことは非常に大きな経験であり、舞台の奥深さを知ることができました。
「マノン」は全5幕で大きく分けて6つの場面に分けられますが、まったく異なるそれぞれの場面において種々の舞台装置が登場します。
予算、時間、人員・・・等の制約の中での製作には困難も多々ありましたが、スタッフのメンバーの尽力に加え、諸先輩方をはじめ多くの方々のご指導、ご協力をいただくことで乗り越えてきました。そうしてできあがった大道具には関係者の舞台への思いが強く込められています。
風雨にも虫たちの侵略にも耐え抜いてきた大道具たちが舞台上でひっそりと、されど存分に「マノン」の世界を醸し出す一助となることができたならば、私たちにとってこの上ない喜びです。
小道具チーフ 関根杏美
本日は東京大学歌劇団の公演にお越しくださり、ありがとうございます。
私はオペラを見るのもするのも大好きです。
前奏曲は、観客をオペラの世界へと誘います。そして幕が開いた瞬間、舞台には現実の世界とは別の世界が広がっています。
私たち小道具は、そうした世界を構築する担い手の1つです。そして時代背景を考え、演出の意向に沿い、歌い手が演技しやすく、そして大道具や衣裳との調和を図らなければなりません。
今回の公演では約60もの小道具たちが登場します。作成に3ヵ月以上かけた小道具の出番はわずか3分・・・。マノンの世界に浸りながら、小道具たちの活躍にも是非ご注目ください♪
衣裳チーフ 斉藤美樹
こんにちは。男声陣の短パン&タイツ姿に興奮を隠せない、衣装チーフの斉藤です。
「マノン」という作品の舞台は18世紀フランス。ということで、全体を通してそれをできる限り意識したシルエット、装飾で今回は衣装を制作しています。
ストーリーを追ってみると、フランス北部の町アミアンのあわただしい帳場に始まり、パリのアパート、祭りで賑わうレーヌ通り・・・と次々に舞台を変えているこの作品。
マノンを取り巻く人たちの身分、立場も多種多様。男声合唱、女声合唱は村人、旅人、衛兵、売り子、貴族・・・などなど、様々な役として登場します。
そこで、低予算の中アイディアを出し合い、それぞれの土地、場面での雰囲気の違いを出せるような衣装作りを心がけました。
また、この作品の軸となるのは、マノンという美しく享楽的な1人の女性の心の揺れ動きであると思います。
そこでマノンの衣装は、1幕は素朴でまだ田舎らしさのあるベージュ、3幕1場は情熱的な赤、4幕はきらびやかなゴールド・・・と、その時々のマノンを象徴したようなものとしています。
これらの衣装たちが「マノン」という作品の雰囲気を出すのに一役買うことができていれば幸いです。