'94年12月のビゼー『カルメン』の上演の記録です。 団体の誕生からたった1年目の舞台です。
作品に関するデータ
作曲: ジョルジュ・ビゼー
原作: プロスペール・メリメ「カルメン」
台本: アンリ・メイヤック、リュドヴィック・アレヴィ
初演: 1875年3月3日、パリ・オペラ・コミック座
東大歌劇団の上演に関するデータ
1994年12月10日 麻布学園講堂
- 演奏 -
総監督(指揮/演出): 片寄 隆典
- キャスト -
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カルメン (S:ジプシー女) | 小野 芳
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ドン・ホセ (T:龍騎兵隊の伍長) | 小林 正俊
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エスカミーリョ (Br:闘牛士) | 伊香 修吾
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ミカエラ (S:ホセの許婚) | 森野 里枝
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フラスキータ (S:ジプシー女) | 金沢 登紀子
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メルセデス (Ms:ジプシー女) | 露木 玲
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ダンカイロ (Br:密輸業者の頭) | 富樫 裕一
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レメンダード (T:密輸業者) | 吉野 香苗
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スニガ (T:騎兵隊中尉) | 清家 王尊
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リーリャス・パスティア (酒場の主人) | 井上 征剛
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東京大学歌劇管弦楽団
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Flute | 斎藤 潔、藤森 和哉
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Oboe | 倉持 優子、坂口 功
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Clarinet | 黒川 敦郎、廣江 奈津子
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Bassoon | 山下 伸介
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Horn | 川上 定利、佐久 間毅、大野 真理子
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Trumpet | 高地 勝幸
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Piano | 永野 裕之
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Percussion | 竹田 和枝、浜崎 博美、冨尾 ゆかり
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Violin | 熊田 陽一郎、笹井 朋昭、志摩 健、高橋 篤子、仲神 龍一、
福渡 裕貴、藤森 慈子、柳沢 賢、和田 紀子
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Viola | 尾崎 輝宏、三宅 章仁、丸山 士行、鳥山 祐介
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Cello | 渋井 進、山口 芽久美、吉見 英恵、長谷川 潤一
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- スタッフ -
日本語訳詞 片寄 隆典
照明 鈴木 弘一郎
なお、上演に使用したオーケストラ・パート譜は、 トヨタ・ミュージック・ライブラリーより借用させていただきました。
舞台裏
創立1年目にして「カルメン」
そもそも、曲が決まる時から大騒ぎだった。 なにしろ、合唱団のメンバーがまだ数人しかいないのだ。 キャストの人数にすら足りないのである。
絶対にそんなの無理だ!
というのが、内外の一致した感想だった。 しかし逆に、「カルメン」ならば、 最悪の場合組曲版の管弦楽合奏といくつかの歌ナンバーで、 一種のショウ形式にしてしまう、という逃げを打つこともできる ・・・と、非常に消極的なプランで「カルメン」に決定したのだった。
会場も、楽譜も無料 (感謝感激!)
幸運だった。トヨタミュージックライブラリーというサービスを知った。 ここに、カルメン全曲のオーケストラパート譜があったのだ。 使用料は無料。楽譜の郵送費用(往復3,000円)だけで済む。
その上、会場も見つかった。 当時のコンサートマスターの母校、麻布学園が、 講堂を無料で提供してくれたのだ。
その時の、校長先生との交渉の様子:
校長先生: 「講堂をお貸しするのに、一つだけ条件があります」
私: 「(ドキドキ)・・・どんな条件でしょうか?」
校長先生: 「うちの生徒も見られるようにして下さい」
これには絶句。 観客なら多い方がいい。条件どころか、 こちらからお願いしてでも来て欲しいくらいなのだ。
かくして、交渉はまとまった。 麻布学園の講堂は、(高校の講堂なのに!) 演劇に使用できるかなり優秀な照明設備などがあるのだ。 こうして「史上最も低予算、少人数のカルメン」は次第に現実的になっていった。